伝え返しの難しさ

1 産業カウンセラー協会の研修で、「前期」「ロジャース流」の「伝え返し」などを技術とする「傾聴」またはその前提となる「聞く姿勢」を体で学ぶわけですが、やはり、それだけではうまくいかない場合があります。
2 「メンタルレスキュー」さんでは、「メッセージコントロール」などの研修で、「伝え返し」の言葉で「惨事にあった方」を刺激するのか、苦痛を再燃させたり、爆発させる危険を学んだのですが、それでも、なかなかうまくいきませんでした。
3 それは、昔、ある交通事故系のセンターでの相談のことです。あるご相談者のお話につい、「伝え返し」(オウム返し)をしてしまったところ、良くなかったのか、まさに「爆発」するような反応がありました。私はそれを見て、メンタルレスキューでのお話を思い出し、大変反省しました。
4 私が一番多く受けたカウンセリング系の研修は、系統的には、時々研修を取らせていただいた、内田・クレペリンや、アサーションや統合療法学会の高名な平木典子先生で有名な日本精神技術研究所さんで、関東では日笠摩子先生が大家である、ロジャースの後継ともいえるジェンドリンのフォーカシング系の研修なのですが、その一つ、インタラクティブフォーカシング(日本では前田先生、伊藤先生、本来はフルウイングでカップルカウンセリング用に開発、ハーフウイングで傾聴訓練)が役に立ったことがあります。
5 この時の交通事故相談は、過去にいろいろなところでご相談されていたご相談者が、「絶望的な事案について相談し絶望的な回答を弁護士からもらい」「絶望と身体の苦痛に苦しみながら」帰ってゆく、というプロセスを繰り返していたという相談でした。このときは、前回の反省から、普通の伝え返しをせず、身体感覚と併せてやりとりをすることにしました。マインドフルネスなどでも同様の話が出ると思いますが、「身体感覚」をその場で探りながら、ゆっくりとした共感を返してみたのですが、その時はそれがその方にあったようで、その方は、「苦痛」を産んでいたのがその方の「脳」の幻であったことに、気が付いたのでしょうか、「あれ、今日はいつもみたいに痛くない」と「絶望的な回答を聞いていながら」はればれとした表情で帰っていかれました。
 よかったとは思いましたが、「弁護士」にそんな手柄はありえないので、結局私は「役に立たない」弁護士でしたから、複雑な思いであったのを思い出します。
 話がそれましたが、当然、「伝え返し」が重要な場合もあります。ただ、その使い方は大変難しいと感じるのです。

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